櫛引さんはこの業界25年のベテランですが、新人時代はどんな風に仕事を覚えていったのですか?
INTERVIEW 03
不二公業株式会社
1996年入社
CHAPTER 01 復興支援で感じた、自分の非力さ
私はガス本支管課に配属されて、すぐに監督士として仕事をすることになったんです。まだ現場については初心者。右も左もわからないなかで叱られる日々でした。とはいえ、新人であっても監督ですから、職人さんから現場について質問されます。すぐに答えることができなくて、事務所に戻っては勉強していました。
一人前になれたと感じたのはいつ頃でしょうか?
奥の深い仕事なので、いまも「一人前です」とは言えないですよ。ただ、プロ意識のようなものが芽生えたのは現場に10年ほど携わってからでしょうね。
それは、何かきっかけがあったのですか?
自分のやり方をつかみ始めた時期に、ちょうど担当していた現場の人員が少なくて「自分がやるしかない」と自覚を持って作業をすることができました。
これまでの仕事で印象に残っている出来事はありますか?
東日本大震災の復興支援に行った時です。当時自分は業界15年目で、きっと何か役目が果たせると思い被災地へ向かいました。しかし、実際は思うようにはいかなかった。現場の状況を見極めて、何からどう進めるべきかの判断力やアイデア力のようなものが自分には足りなかった。もっと現場力をつけなければいけないと痛感した出来事でしたね。
CHAPTER 02
いくら経験があっても、
威張るようなことはない
現場で監督として業務を行う中で意識していることはありますか?
職人さんやそのほか関係会社さんとの意見交換を大切にしています。自分が「こう進めるといいだろう」と思っていても、他の人はそうではないかもしれません。なるべく、多くの意見を聞いて、現場をどうしたら上手く進めていけるのかを考えるようにしています。
現場でのコミュニケーションで大切にしていることはありますか?
自分はまだまだだという気持ちを持って、誰に対しても偉そうな態度を取ることが決してないように心がけています。全員がその現場を事故なく終わらせ、お客さまに満足してもらえることをゴールにしています。上下関係などなく、しっかり意見を言い合えるような人間関係を築いていけるように心がけています。
信頼関係が大切なのですね。生活されている方と接することもありますか?
今、私が行なっているのは低圧工事というもので、戸建て住宅に引き込むガス管を整備するのが仕事です。人々の暮らしがすぐそこにある現場。安全第一はもちろん、家の前の道路を通行止めにする日もあるので、しっかりとお話をして、ご迷惑をかけるのは最小限にとどめるようにしています。
CHAPTER 03 自分の下で仕事がしたいと言われる喜び
櫛引さんが仕事をするなかで喜びを感じるのはどんな時ですか?
トラブルなく工事が終わったときです。これは自分一人では決してできないこと。いつも現場を共にする仲間には感謝の気持ちでいっぱいです。それから、他の職人さんから「櫛引さんの下で仕事がしたい」と言われることがあり、相手を敬う気持ちや、信頼関係を大切にしていてよかったなと思います。
櫛引さんが現場で意識している思いが仲間にも伝わっているのですね。
そうかもしれません。現場の雰囲気はとても明るくて、いつも賑やかです。みんなのびのび働けているのではないでしょうか。仕事以外でも集まって食事に行くこともあるんですよ。
これからの目標はありますか?
長く現場にいますが、自分はまだまだ学ぶべきことがたくさんあると思っています。同業者の仕事を見ていて、「いいな」と思う部分があれば真似してみたり、「自分ならどうするだろう」と考えたり。向上心を忘れずに、頑張っていきたいですね。
最後に、若者たちにメッセージをいただけますか。
若い方から私たちを見ると「きつそう」「厳しそう」と思うでしょう。でも、実際はそうではありません。その「きつさ」や「厳しさ」は安全を守るためには必要不可欠なものでもありますし、仲間の存在がその大変さを忘れさせてくれることも。決めつけず、ぜひ一歩踏み出して、私たちの仲間になってみてほしいです。
休日の過ごし方
仕事とプライベートはしっかりメリハリをつけています。家では、仕事のことは考えずのんびり休んでいますね。体力を温存して、次の現場に備えています。